〆サバはどうして塩と酢を使うのか??

下準備

作り方は分かるけど、なんでこの工程が必要なのか?知っている人が少ないので今回は〆サバについて解説します。

先ずは真サバの旬がいつなのか? それは秋が一番美味しいと言われていて「秋サバは嫁に食わすな」なんていう言葉もあるのですが、、、実際は晩秋から2月くらい。 通常の約20%以上も脂肪分が増え、非常に美味しい時期を迎えます。 しかし4月から6月くらいに産卵を終えた真サバは痩せ細り9月くらいまでは市場では「猫またぎ」と言われ、魚が大好きと言われている猫でさえ 跨いで通り過ぎるほど味が落ちます。それなのに市場での値段は一年を通して殆ど変わらないんです。 それは夏場だけ値段を下げてしまうとサバ自体の価値が下がってしまうため冬場の値段を基準とし売られています。 また味に関しては焼物や煮付けにした時に大きく味の変化が分かるという意味で、〆鯖に関しては少し違ってきます(これについては後で説明します)。 こだわっている職人さんの中には、この時期だけゴマサバを使う人もいますが(ゴマサバは一年を通して味の変化があまりない)関東ではゴマサバは身が柔らかく人気がないため、嫌がる職人さんもいます(関西では人気があります)。

・〆さばで重要なこと

サバを生で食べて蕁麻疹や食中毒になるのは、サバの中にある旨み成分であるアミノ酸 ヒスタミンが原因です。 ヒシツジンがヒスタミンに変化する時 中毒症状を起こします。 ここで安全にサバを食べるためにはヒシツジンを抜かなければならないのですが、それを取り除くのに使われる調味料が塩です(塩でなくても砂糖でもOK)。 この塩の役割は魚の表面に穴をあけるイメージで使用します。 塩をたっぷりとサバに振る(強塩)ことにより40分くらいで中からアレルギー成分が出てきます。そうしましたらよく水で洗い流し酢に漬けます。

この時とても大切なことがあります。それは酢の温度を5度以下にするということです。 海の魚は10度以下の中で生活しています。 売られているサバは寒流系が殆どなのでもう少し低いですか、、、 つまりその温度帯でないと魚の中に酢の成分がしっかりと入らないんです。 常温の酢で〆ている人が多いのですが、それでは表面のバクテリアは殺菌できますが、中まで酢の成分が100%浸透しないため味気ない〆サバになってしまいます。 何故味気ないかというと、塩でアミノ酸(旨み成分)を全て抜いてしまっているからなんです。 ここで酢を冷やし中まで成分が浸透させることにより、抜けてしまったアミノ酸を復活させる効果があります。 つまりサバ本来の味に戻すため冷やす事がとても重要になってくるんです。 ここで酢を5度以下にすると言っても家庭では難しいと思っていませんか?  大丈夫です!!

〆るための酢に氷を入れれば良いのです。 でもそれでは酢が薄まってしまう と思いますが酢の成分が大切で酸っぱさはそれほど重要ではないので。

また、酢は殺菌作用があるから酢に漬ければ安全だと勘違いしている職人さんも多いのですが、それは冷蔵庫がなかった時代の話しで(昔のやり方も大切ですが)、これだけ流通や冷蔵庫が進化しているのに昔の方法では、折角美味しい味を保った状態で手に入れることが出来たサバを それなりの味にしてしまっているのを気がついていない人が多すぎます。 〆サバで中毒を起こさないために気をつけなければいけないのはです。 酢は表面のバクテリアを死滅させるのと旨みを復活させっるために使う。 このことさ抑えておけば、下手な料理屋さんの〆サバより美味しいものが作れるので 是非参考にしてみてください。

そうそう、猫またぎのサバでも〆サバは別と書きましたが、秋と夏とでは脂肪分違いでサッパリとしている〆サバは、赤身肉が好きな人・特選カルビが好きな人くらいの違いだと思っていただけたらと思います。

もう一つ大切なことがあります。最近話題のアニサキスについて・・・何故ここ最近アニサキスが増えたかご存知でしょうか?それは捕鯨が大きく絡んできます。アニサキスの最終宿主であるクジラが捕鯨運動により増えすぎた結果アニサキスも爆増。 なので安全に召し上がっていただくために〆たサバは24時間冷凍庫で保管し、解凍してから召し上がることをオススメします。 冷凍焼けが心配な方は、ラップで包んだ後アルミホイルで包んで冷凍庫へ。(ラップは空気を通すから冷凍焼けします。その周りをアルミホイルで包むことにより空気を通さないので冷凍焼けしません)