マレーシアでの牛肉の消費や流通について

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マレーシアでの牛肉の消費動向や流通状況についてお話しします。マレーシアは、多民族国家であり、食文化も多様です。牛肉は、マレー系や中華系、インド系などの人々にとって重要なタンパク源であり、様々な料理に使われています。しかし、マレーシアの牛肉の自給率は約25%にとどまり、残りは輸入に大きく依存しています。その中でも、日本産の和牛は高品質で高級な牛肉として認知されており、需要が高まっています。それでは、マレーシアでの牛肉の消費動向や流通状況について見ていきましょう。

マレーシアでの牛肉の消費動向

マレーシアの牛肉の消費量は、2019年には1人当たり約6.5kgでした。 これは、アジアの中では比較的高い水準です。牛肉の消費量は、人口の増加や所得の向上に伴って年々増加傾向にあります。 特に、中華系やマレー系の中間層や富裕層は、牛肉を高級な食材として捉えており、ステーキや焼肉などの料理に好んで使っています。 また、マレーシアでは、スチームボート(マレーシア風鍋)やしゃぶしゃぶなどの鍋料理も人気があり、牛肉の薄切り肉もよく消費されています。

 

マレーシアでの牛肉の消費には、民族や宗教の違いが大きく影響しています。マレーシアの人口の約60%を占めるマレー系は、イスラム教徒がほとんどであり、ハラル(イスラムの戒律に則った)食品しか食べられません。 ハラルの牛肉は、イスラム教徒によって屠殺され、神の名を唱えながら首の動脈と静脈を切断して出血させるなどの条件があります。 そのため、マレーシアでは、ハラル認証を受けた牛肉のみが流通しています。 一方、中華系やインド系は、仏教徒やヒンドゥー教徒が多く、牛肉に対する制限はありません。 しかし、中華系やインド系の中には、マレー系との共生のためにハラルの牛肉を選ぶ人もいます。

マレーシアでの牛肉の消費において、日本産の和牛は高級な牛肉として認知されています。和牛は、黒毛和牛をはじめとする日本固有の牛の品種で、美しい霜降りと柔らかい食感、芳醇な香りが特徴です。 和牛は、日本国内での消費量が多く、輸出量は全体の1%程度ですが、その中でもA4やA5といった高い等級のものが輸出されています。 マレーシアでは、2017年11月に日本産の牛肉の輸入が解禁されました。 それ以前は、口蹄疫やBSEの発生を理由に、日本産の牛肉の輸入が禁止されていました。 解禁後は、マレーシアのハラル方式を取り入れた認定施設で処理された日本産の牛肉のみが輸入できます。 現在、日本でマレーシアハラル認証を受けている施設は2つあります。

 

マレーシアに入ってくる日本産の和牛の量は、2017年には約2.5トンで、前年比で約3倍に増加しました。 マレーシアに入ってくる日本産の和牛の産地は、47都道府県全てです。 マレーシアでの日本産の和牛の値段は、約3000円から5000円/100gと高価ですが、高所得層や日本食好きの人々に人気があります。 日本産の和牛は、高級レストランやホテル、日系スーパーなどで提供されています。 また、日本産の和牛の認知度向上や品質の良さを伝えるために、試食販売やプロモーションなどの工夫も行われています。

マレーシアでの牛肉の流通状況

マレーシアでの牛肉の流通状況は、以下のようになっています。

 

  • 牛肉の輸入は、マレーシア政府の農業・食品産業省(MOA)が管轄しています。
  • 牛肉の輸入には、輸入許可証(AP)が必要です。 APは、MOAの下部組織である農業開発局(DOA)が発行します。
  • APの申請には、以下の書類が必要です。
    • 輸入申請書
    • 輸入者の登録証明書
    • 輸出国の衛生証明書
    • 輸出国のハラル証明書
    • 輸出国の検疫証明書
    • 輸入する牛肉の詳細(品種、部位、重量、数量、価格など)
  • APの発行には、約2週間かかります。 APの有効期限は、発行日から6か月です。
  • APを取得した後は、輸入者は、輸入する牛肉の詳細をマレーシアのハラル認証機関(JAKIM)に登録する必要があります。 JAKIMは、輸入する牛肉がハラルであることを確認し、ハラル証明書を発行します。
  • ハラル証明書を取得した後は、輸入者は、輸入する牛肉の詳細を輸入する牛肉の詳細をマレーシアの検疫局(DVS)に登録する必要があります。 DVSは、輸入する牛肉が衛生的で安全であることを確認し、検疫証明書を発行します。
  • 検疫証明書を取得した後は、輸入者は、輸入する牛肉の詳細をマレーシアの税関(KASTAM)に登録する必要があります。 KASTAMは、輸入する牛肉に関する税金や関税を計算し、支払いを受け付けます。
  • 税金や関税を支払った後は、輸入者は、輸入する牛肉をマレーシアの港や空港で受け取ることができます。 その際、JAKIMやDVSの職員が、輸入する牛肉のハラルや衛生の状態を再度チェックします。
  • 輸入する牛肉が問題なく通過した場合は、輸入者は、輸入する牛肉を自分の倉庫や店舗に運ぶことができます。 その際、輸入する牛肉には、ハラル認証マークや検疫証明マークなどのラベルが貼られている必要があります。

以上が、マレーシアでの牛肉の流通状況です。 マレーシアでは、牛肉の輸入には、多くの手続きや条件がありますが、それは、マレーシアの消費者の健康や信仰を守るためです。 日本産の和牛は、マレーシアのハラル方式に適合しており、高品質で安全な牛肉として認められています。 しかし、日本産の和牛は、高価であり、競争力が低いという課題もあります。 日本の牛肉業者は、マレーシアの消費者のニーズや嗜好に応えることができるよう、品質や価格、ブランディングなどに工夫を凝らしていく必要があります。

以上、マレーシアでの牛肉の消費動向や流通状況についてのでした。次回は、マレーシアでの牛肉の料理やレシピについてお話しします。お楽しみに!