和の料理人 コリュウです。
突然何言っているんだ！！と思われる方もいるかと思いますが、最後までお付き合いしてただけたらと思います。
ボクが料理業界に入ったとき言われていたのが、本当に料理を作るのが大好きな人間は
趣味で料理を作っていた方が良いので、仕事
としてこの業界で働くのを考えた方た良いと・・・これは作る方の話ですが、食べる方も同じなんです。 料理を作って仕事をする。一番大切な事、、、それは食べる事
なんです。 こだわった職人さんになればなるほど、調理前の食材をも食べて判断します。 ここで作る方から少しだけサラッと書いていきます。
料理を作ると言うことは時間
を逆に使うことから始まります。 家庭の料理は作りたい料理を思い浮かべ買い物に行き調理をスタートし最終的に味を整え完成ですが、ウチらの業界はお客様に提供されたところがスタートで、それを逆算し調理をスタートします。 提供される時の盛り付けをイメージし完成された味付けを思い浮かべ、入れる調味料の量、出汁の割合（和の場合、昆布強めが良いのか？鰹出汁だけで良いのか？鶏ガラや椎茸のエキスを加えた出汁にするのか？など）を考え煮込む時間や材料の火の入り方を考え一緒に煮ても大丈夫なのか？ダメなのか？などなど。そのためにはこうやって切らないといけない・・・・全て逆に計算してから調理が始まります。 即興で料理を作る人がいるじゃないか？と思う方も多いかと思いますが、この工程を経ていないと難しいかと思います。 そうなんです。この工程を全てイメージして味を完成させるために、下の人間は材料の管理や切り付け
・盛り付け
などを勉強。 このシステムが修行と言われ、色々なポジションの人の手を借りて一つの料理が完成します。 ここで何故？料理を作る仕事をすると、美味しいものを食べたい人がダメなのか？？それはお客様のテーブルに提供されるまでの時間を出来る限り正確にしなければいけないので、全てを一から作っては間に合わないからなんです！！つまり大根おろし
も、おろし立てが一番美味しいし、魚もおろし立てを刺身
にするのが良いのですが、、それは不可能。ネギも切って直ぐ提供したいのですが、無理なので切り置きしておいたのを提供。大根にしかり魚にしかり。 料理を仕事とする以上どこまで妥協を許せるか？の中で葛藤しながら毎日を過ごすことになります。美味しい料理を食べるのが好きな人がこの状況を許せないのは分かるかと思います。
次に食べる方を少し書いていきます。 当時は（今はローテーションを組んで上の人間を蹴落とさなくても色々なポジションを経験できます）ポジションが直ぐに変わることはなく・・フルーツ場の人は朝から晩まで毎日、雑用をこなしながら漬物や果物を切ってそれを管理しながら（全て食べてチェックします）過ごします。 月に二回献立が変わる店はまだ良いのですが、１ヶ月同じ漬物・果物を食べてチェックはどうでしょう？？ 八寸の人は、毎日その細かい料理を食べ続けますし、揚げ物焼き物を担当する人は海老
を毎日のように食べたり（エビを嫌いになる人もいます）、同じ魚を毎日味見。 煮方に関しては店の全ての味付けを管理。 そうすることにより、食べることに感動がなくなり、食に貧しくなります。 それは仕事に関わらず、外で食事をしても「美味しい」という感覚が麻痺していて感動がないんです。 ボクもこの業界に入り高級なマスクメロン
を食べたとき、この仕事をして良かったと思う位感動しましたが、今ではメロンが好きではありません。 そうなんです。毎日毎日美味しいメロンを食べ続けたため、普通のメロン
が全く美味しく感じることができず好んでメロンを食べることがなくなりました。 焼肉屋さんにいた時も、高級なサーロインやハネシタ・ヒレなどを美味しい焼き加減で食べていると、他で食べても感動がないんです。
タイトルに書いた通り 美味しい料理を食べたい人・食べることが大好きな人は、この業界はやめておいた方が良いとボクは思います。