天麩羅の歴史と進化

料理

鮮度の良い旬の食材をサッと衣で揚げ、揚げたてを食べると笑顔が自然と出てきますよね! 今日は天婦羅について。

[天麩羅についての歴史に触れてみる]

今から400年くらい前 鉄砲の伝来と共に長崎に伝わった南蛮料理が天麩羅で、当時は油が貴重だったため庶民が食べることが出来ない高級料理でした。 時代は流れ 江戸時代くらいから進化していったのが「江戸前天麩羅」です。  この江戸前天麩羅について、聞いたことがある人も多いかと思いますが、江戸前(東京湾)でとれた魚はクセが強い魚(香りの強い)が多かった為、ごま油で天麩羅を揚げたのが始まりと・・・  実際は「鮮度の落ちた魚を美味しく食べるために編み出された」が正解。 魚の臭みを取るためにごま油で揚げるが「江戸前天麩羅」です。 しかも海鮮のみで、野菜を揚げるを広めたのが銀座の近藤さんです。

[揚げ方の進化に迫ってみよましょう]

天婦羅にかぎったことではないのですが、SNSのおかげで食の進化が止まりません。 また海外の食材が簡単に手に入るようになり,今まで無かった食材も楽しめるようになりました。

では技法についてはどうでしょうか? 天婦羅というと「180度で揚げる」誰しもが一度は聞いたことあるかと思います。 今でもその揚げ方は変わっておらず、ボクが若かりし頃 温度を変えながら揚げていたら先輩から「そんなの邪道だ!天婦羅ではない」ってぶっ飛ばされた記憶が・・・

しかし10年位前から少しづつではあるのですが、違った揚げ方をする職人さんも増えてきました。 2種類の油を用意し、始め低い温度で揚げ途中で高温に移して仕上げる。 揚げるのに180度は必要ないと、途中で火を消してしまい温度を見極め また火をつけるといった技法も生み出されてきています。

和食という業界は昔の伝統を重んじるあまり、洋食や中華よりも進化のスピードが遅すぎるくらい遅いです。これは悪いことではないのでが、新しい技法を生み出す足かせになるので厳しすぎるのもどうかと思います・・・勿論、上に書いた新しい技法を考えた職人さんも基本はしっかりと学んでますし、基本さえしっかりと学んだ人はある程度自由にやらせても良いのかとおもいます。

油はどうでしょう。 昔はごま油100%で揚げていましたが、ボクがこの業界に入ったばかりの頃、ごま油100%で揚げる天婦羅屋さんがあったのですが、ごま油がキツすぎると言われ、腕は良かったらしいのですが閉店してしまいました。 えっ昔はそれで揚げていたんですよね、、、これについて説明していきます。 昔のごま油は新しい物ではなく寝かせて使っていました。 ごま油を倉庫で寝かせ、古いものから天婦羅屋さんに卸していたため、今ほどゴマの香りが強くなかったのです。 今は油の酸化は人体に余りよくないので、新しいものが流通しています。 新しい=香りが強い。 閉店してしまった天婦羅屋さんは勉強してごま油100%にしたのだと思いますが、まさか寝かせたごま油を使っていたことまでは知らなかったみたいです。

ではごま油ではなく、サラダ油で揚げれば良いと思うかもしれないのですが、サラダ油は酸化が早く素材の味を楽しむのには良いのですが、軽すぎて物足りない感じになってしまいます。 そのため、今の天婦羅屋さんは3種類の油を混ぜて使う店が多いです。店によって変わってきますが、サラダ油・白絞油・ごま油をブレンドするのが一般的かと。   ごま油は液体の油の中では酸化が遅く、かりっと揚がるしコクも出ます。 ご家庭で天婦羅を揚げるときは、カレースプーン2・3杯 入れるだけでもお店の味に近づくので是非。