昔の町場のお寿司屋さん・・?知っている人いるのかなー、、、 

下準備

和食の料理人 コリュウです。

ボクがお寿司屋さんにいた時の話をしていきます。 ボクは鎌倉の稲村ケ崎という場所の寿司屋で働いていたのですが、そこの職人さんは神奈川の寿司調理師会で有名な〇〇会(仕事ができないと入れない)のナンバー2で、やばいくらい恐ろしい親方でした。 仕事は超一流でしたが、人間的にやばい人で 一度怒らせてしまったことがあったのですが、一か月間一言も口を聞いてもらえなかった(挨拶は勿論、返事すらしてもらえませんでした)のは流石に厳しかったです・・・そのほかにも色々な事があったのですが、読んでいて気持ちの良いものではないので控えさせていただきます。

町場の寿司屋は出前というものがあり、今ではやっているところがあるのか??というより今の寿司職人さんですら知らないのでは?? 毎朝寿司酢を2種類用意し、その日の予約状況や平日・土日などで計算しながら酢飯2種類の割合を決め、合わせていました。 店で食べるお寿司と出前のお寿司では実は味が違うんです!

出前のお寿司は1人前(巻物を入れた10巻が普通で、これを決めたのがアメリカのマッカーサー率いるGHQ)でお腹をいっぱいにし満足させることが大切。なのでシャリが大きめで若干砂糖多めの甘めの味付けになっています。 店売りはお酒やお茶を美味しく召し上がっていただくために、砂糖控えめで塩を少し多めの味付けに。しかも小さめに握る。  砂糖を使って調理する技法は日本料理でも使われている技法で、甘いものを食べることにより血糖値が上がり脳が胃の働きを鈍くします。そうすることにより少量でも、お腹いっぱいに感じることが出来るんです。会席・懐石料理の前妻や八寸甘いものが入っているのはそのためなんです。 昔ご飯の前におやつを食べるとご飯食べられなくなるって言われたことありませんでしたか??

こういった気遣いが昔は当たり前でしたが、今は店売りも出前も同じシャリを使って握っているところが普通だと思います。 労働基準法だの働き方改革・ホワイトだのブラックだの言われる時代になってしまい1日8時間労働で休みは月9回・・・料理人の世界では、技術や知識がないと後々めちゃくちゃ苦労する仕事なのに可哀そうで仕方ないです。 ホテルは魚をおろすこともなく(おろされてきたものを、皮を取って刺身を切るだけ)前菜や八寸も一から作らず出来合いを買って、少し味を変えて提供。それはそうですよね!ゴマ豆腐を練るだけで一時間半かかりますし。

無形文化遺産として登録されましたが、昔当たり前だった技術がどんどん忘れ去られています。このままでは、昔の技法を知らない職人さんが当たり前になる日もそう遠くはないかと・・・